セブンシーズ・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役 續池均(ツヅイケキン)様
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前回のメルマガでもお話ししましたが、いよいよ明日からイタリア出張です。当初は6泊8日の予定でしたが、メーカーとの商談やセレクトショップを巡ってのマーケティングリサーチなどをこなすためには日程がきつすぎるため2日間の延長になりました。ミラノ、フィレンツェ、パルマ、ボローニャをまわる予定です。海外出張は多いのですが、10日間の海外滞在は初めてなので、元来旅行が苦手な私にとっては刺激が強い渡航になりそうです。
さて、今回はホスピタリティの中ではかなり重要度の高い衛生・安全管理について考えてみましょう。衛生・安全管理はホスピタリティを少し学んだことがある人にとっては当たり前の概念ですが、ホスピタリティにまつわる感動物語などを読んでホスピタリティに興味を持ちはじめた方々には馴染みが薄いかもしれません。表層的なホスピタリティを意識さえすれば常にお客さまが感動してくれるようなサービスを提供できるようになるわけではありません。感動的なサービスはいろいろあるかもしれませんが、その多くは演出からではなく、自然の振舞の中でのふとしたきっかけで生まれるものが心に残ると思います。演出を完全否定しているわけではないのですが、常に全てのお客さまのために演出をすることは不可能に近いですよね。
では、自然の振舞の中でお客さまに感動していただくようなきっかけをつかめる人はどのような人でしょうか。きっとその人は基本がとてもしっかりとしていると思います。お客さまを"心からもてなす"基本がしっかりと身に付いていないと決して"本物の感動"など生むことができないのです。
例を挙げてみましょう。今日は3年間お付き合いをしている彼女の誕生日です。素敵なイタリアンレストランを予約しました。お店には今日彼女にプロポーズすることを伝えています。お店に着くと「お待ちしておりました、山本様」と名前を言う前から素敵な笑顔のコンシェルジュが迎えてくれました。席に案内されるとそこは夜景が一望できる窓際のとっておきの席でした。彼女との初めてのデートも同じあの席でした。食前にグラスのシャンパンを頼みましたが、待っているいる間にかすかに聞こえてくるあのメロディーは彼女との思い出の曲。彼女も何かいつもとの違いに気づいたのか、少し緊張してきた様子です。運ばれてきたピーチシャンパンカクテルは少しくすんだ色をしていますが、グラスの底にはキラキラと光る物が。そうです、もうお気づきですね、婚約指輪です。彼女はグラスをあけるまでもなく、喜びで瞳を潤ませています。緊張と感動に包まれた彼女はしばしその余韻に浸っていました。いく時が過ぎたでしょうか、落ち着きを取り戻した彼女が涙でおちた化粧を直すために化粧室へ立ち上がったその時です。後ろを歩いていたウェイターがふと注意を怠ったため、彼女にぶつかり運んでいたグラスに入った赤ワインを彼女のスカートにこぼしてしまいました。誕生日のディナーだけど何か予感があったのでしょう、一番のお気に入りの白いスカートを着てきたのに…。
とまあ、このようなキザな演出をする人も珍しいでしょうが、例えば一生に一度のイベントだからこそ演出まで考えて実行したとしても基本がしっかりしていなければせっかくの演出も台無しになってしまうのです。忙しい時こそ落着いて周りに気を配りながらというのがサーブの基本ですね。人はミスをします。だからこそミスを防ぐための基本動作があるのです。ホスピタリティにはこうした表に出てこない基本が多く含まれています。先にお話した障害を持った方へのケアや、今回お話している衛生・安全管理などは基本中の基本なのです。
安全管理の話をまず取りあげましたので、加筆しますと「通路の障害物の有無」、「非常口への案内経路の確保」、「床の滑りやすさ」、「危険なインテリアの頭上配置」など私たちが外食産業の実態を調査していると見落とされている基本のなんと多いことか。列記したことが徹底されていないと地震などの非常事態の時に惨事を拡大させます。めったに害を及ぼさない要件だからこそ、しっかりと対策を実施しておくべきでしょう。
同様に衛生についても、特に飲食業では重要になってきます。昨今、未知の新種ウィルスが発生しています。このウィルスとの付き合いは人類の使命かもしれませんので上手く付き合っていく上でも衛生管理は大切です。衛生管理を徹底していれば防げるものが多いようですが、管理が行き届いていなければ容易に食中毒を起こしてしまうかもしれません。「生ゴミの種類別廃棄」、「使用後の食器の洗浄」、「スタッフの身なり」など管理項目は枚挙に暇がありません。ホスピタリティには法律がありませんから、人々が気が付く限りにおもてなしをレベルアップするしかルールの昇華はできないのです。
少し馴染みが薄いカテゴリーの話と思いましたので、前置きが大変長くなってしまいました。つづいて本題のインターネットショッピングにおける衛生・安全管理を考えてみましょう。衛生面での応用は少し考え難いかもしれません。生ものを扱っている方であれば、商品の衛生面についてはあたり前のように注意深く考えていると思いますし。一方、安全管理で真っ先に思い浮かぶのがセキュリティではないでしょうか。お客さまが顔も見えない相手から物を買うための心理的ハードルは想像以上に高いと思います。その理由は当然、"不安"でしょう。お客さまの不安を取り除き、安心して買い物をしていただくために万全のセキュリティ体制を構築しておく必要があります。ホスピタリティを第一に考えているようなサービス業の実店舗では見落とされがちな安全を、実は皆さんはあたり前のように考えているのです。
「ウィルス対策」、「個人情報保護方針」、「クレジットカード決済時の暗号化」とお客さまに安心して買い物を続けてもらうためのおもてなしの数々。もし、一度でも安全性に疑問を感じさせてしまうような出来事が起きたらそのお店からお客さまは遠ざかってしまいます。インターネットショッピングにおいては致命傷に成りかねない要素だからこそ対策を講じているのだと思います。
そして、店舗経営上必要な要件としては「サーバーメンテナンス」、「ユーザービリティ改善のためのリニューアル」などがあります。メンテナンスは定期および臨時で実施されますが、お店を支える屋台骨の管理は欠くことができません。お客さまにはご迷惑をお掛けしますが、安心して買い物を楽しんでもらうためにはご理解をいただき実施していくべきですね。安全管理については何かあってからでは遅すぎるのです。
今回は私からの提案ではなく、既に皆さんが実施されているホスピタリティを再認識する機会となりました。もしこのコラムで衛生・安全管理がホスピタリティのひとつとしても顧客サービスにとっては大切な要素とご理解いただけましたら幸いです。次回はホスピタリティにおいては応用編とでも言える顧客志向について考えてみたいと思います。