セブンシーズ・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役 續池均(ツヅイケキン)様
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突然ですが、イタリアに行って来ました。もちろん仕事でですが、とても有意義な視察になりました。
欧州の中でも日本人観光客に人気が高いイタリアですが、私はこの歳になるまで行ったことがありませんでした。気候のせいもあるかもしれませんが、社会全体が明るく感じました。物価も高騰し、決して生活は楽ではないようですが、人々の顔には笑顔が溢れていました。お店では「ボンジョルノ」と笑顔で迎えてくれます。日本の「いらっしゃいませ」とは多少雰囲気も違うかもしれません。気さくに話しかけてくれる店員さんは二度目の訪問では「チャオ」に変わっています(笑)。イタリアは日本に対し好意的な人が多いようで、とても気持ちのほぐれる楽しい海外視察となりました。この調子ではまた秋にイタリアに渡航することになりそうです!
さて、本コラムも残り2回となりました。今回は「顧客志向」、次回は「アフターサービス」と、いよいよ佳境にせまってまいりました。今回の「顧客志向」は以前にも何度かコラムで触れているホスピタリティの応用編とでも言うべき内容になります。 マニュアルには書かれていないようなイレギュラーな出来事が起きたときにいかに気付き、適切に対応し、お客さまが納得できるような解決策を提案できるか。他にも心に残るような思い出深い雰囲気作り。スタッフ全員がどれだけサービス理念を理解し、効果的に実践しているかなど、一朝一夕では実現できないとても難しく、かつ範囲の広い概念になります。
お客さまに"NO"と言わないことがホスピタリティの基本ですが、これをスタッフ各々がどれだけ適切に実践できるかがポイントです。これは決してお客さまに迎合して全てを受け入れるということではありません。そもそも無理難題をおっしゃるお客さまも存在します。ここでは"NO"という言葉を発することなくいかにお客さまに納得してもらえるような結末に導くことができるかということながテーマなのです。
昨今はお客さまの要望に対し、マニュアルには書かれていなくてもある程度内であればスタッフ個人の判断で対応すべきと指導している企業も少なくないようです。世界有数のホスピタリティカンパニー、リッツカールトンホテルに存在する、スタッフ個人が独自の判断で一日2,000ドルまで決裁できる話は有名ですね。これは経営者にとってはなかなか真似のできない勇気のいる仕組みですが、要するに企業のサービス理念の本質をスタッフ全員が確実に理解し、実践することができればこの決裁権はコストではなく適正な投資になるということだと思います。
マニュアル主導のサービス実践は時に無味乾燥なサービスを生み出します。ホスピタリティの本質を理解していれば決してそのような対応をしないはずなのになぜ?という対応が普通に見受けられるのです。
例えば、行きつけのレストランに一人で行く場合。 いつも一人なのに、毎回「何名様ですか?」と聞かれたり、たばこを吸わないのに「喫煙席、禁煙席のどちらがご希望ですか?」と聞かれたりと…。あきらかにそのスタッフはこっちの顔を覚えているはずなのですが、マニュアルに則ってしまうことがあります。 もしスタッフが常連のお客さまと分かっているのならば、「いつもお越しいただきありがとうございます。今日はお天気も良いことですし、窓際の席などいかがですか?禁煙席でよろしかったですよね?」と問いかけられたら良い空気が流れると思いませんか。きっとその食事はさらに美味しく感じることができるでしょうし、お店との距離感がグッと縮まることは間違いありません。
これ以外にもまたレストランの例で恐縮ですが、例えば"大盛り"について。 男性であれば大盛りを注文することもあるでしょう。大盛りって難しいことでしょうか?無料で大盛りにしてくれるお店があるかと思えば、一方で「そのようなサービスはお受けしかねます」とくるお店もあります。マニュアルで断るよう指導されているのでしょうが、このコスト意識が逆にお客さまの気持ちを遠ざけていることに気づいていないのだと思います。
上記は一例にすぎませんが、全ては応用力です。何をすればお客さまとの距離が縮まり自分のお店にもプラスになるのかをサービス理念に則って考える必要があるのです。逆にマニュアルとはあくまでもサービスの基本を分かり易くしたもので、これがあれば完璧ということではありません。マニュアルは時代ともに陳腐化しますし、逆にスタッフは日々成長しなければ本当のホスピタリティはマスターできないのです。
「顧客志向」をインターネットショッピングで実践するとなるとこれがなかなか難しそうですね。しかし、実はお客さまの顔が見えないからこそ、顧客志向を徹底する価値はあると思います。インターネットで買い物をするお客さまは接客やサービスについてはあまり期待していないのではないでしょうか。中間コストが削減されているため価格もリーズナブルですし、そもそも"店員さんのあの煩わしい密着マーク"がないわけですから(笑)。
では、どのように顧客志向を実践したら良いのでしょうか。 私は"顔の見えないお客さまの顔"を常に想像するということだと思います。一度もお会いしたことがないお客さまが二度までもお店を利用してくれました。きっとお店の何かを気に入ってくれたのでしょう。商品自体かもしれません。価格かもしれません。WEBサイトの利用勝手かもしれません。もしかしたらお店の雰囲気かもしれません。お客さまが何を気に入ってくれたのかを想像してみるだけで、感謝の気持ちの表現方法が変わってくると思いませんか?
私はインターネットショップをよく利用するのですが、商品と一緒に直筆の手紙が送られてくることが増えました。でも残念なのがその内容です。最悪なケースは前回と全く同じ内容の手紙です。それもわざわざ直筆で…。完全にマニュアル化されていますよね。これでは逆効果です。頑張ってるのにもったいないなと思ってしまいます。せっかく手紙を書くのならお客さまの顔を想像してみて下さい。きっと以前何を購入してくれたのか知りたくなります。なぜその商品を気に入って利用してくれているのか知りたくなるはずです。
これも応用編ですが、全てはコミュニケーションにつながっているのです。お客さまを心からもてなしたいと思えばきっと様々なアイデアが浮かんでくるはずです。そのコストは決して無駄にはなりませんし、そもそもコストをかけなくてもおもてなしはできると思います。私の会社でも8月1日にインターネットショップをオープンします。そこでいろいろなアイデアを実践した結果を、今度機会があれば紹介させていただきます。
次回は最終回となります、「アフターサービス」について考えていきたいと思います。